笈 ヶ 岳(1,841m)
平成15年5月2日(金)快晴
やっと念願の笈ヶ岳へ登ることができた。この10年来の久恋いの山であった。残雪期しか登れない、しかも山中で1泊しないと無理ということであった。しかし、ジライ谷からの最短ルートをとれば日帰り可能とのことで、時期を見計らっていたが、この日、休暇となったので、この日を逃したらもう今年はいけないと思い、急遽出かけていった。午後11時近くに自宅を出て、国道156号で白鳥町へ、さらに国道158号で大野市へ、国道57号で勝山市へ、国道360号で吉野谷村へと進んだ。白山スーパー林道の石川県側の入口である。この白山スーパー林道の手前に白山自然保護センターがあり、駐車場やトイレもある。午前2時に到着し、車中で仮眠した。午前4時30分に起床した。トイレをすませ準備をして、5時00分に出発し、白山自然保護センターの駐車場脇から延びる遊歩道へ入り、野猿公園を目指す。トンネルを2つ抜けて、5時21分に野猿公園に着いた。公園と言っても休憩舎が1棟あるのみで、他にはなにもない。この休憩舎の横の谷がジライ谷である。この谷を対岸の左岸側へ渡る。左岸にかなりはっきりした踏み跡がある。しかし、いきなりの急登でしかも長く続く。なれない体に堪える。直登の途中で2人の単独行に追い抜かれてしまった。どうも背中の荷物が多すぎたようだ。単独行には、「たいそうな荷物ですが縦走ですか。」と聞かれてしまった。日帰りには極力荷物を厳選すべきと感じた。特に、こうした強行には荷物をできるだけ軽くすべきだ。6時21分になんとか大岩に着いた。「猿が浄土」というらしい。この大岩を過ぎ、6時48分ころには、少しだけ傾斜が緩やかになる。そして6時53分に急傾斜の直登を登り切り、尾根の先端に達し、休憩する。冬瓜山やシリタカ山が望める。ここを7時00分に出発する。尾根はアップダウンしながら、次第に高度を上げていく。そのうち雪が現れ、7時54分から8時00分までかかりアイゼンを装着する。8時20分に冬瓜平への分岐に着いた。山毛欅尾山方面からの尾根と合流するところでもある。先行者の足跡は、みんな冬瓜平へ下っている。1人は冬瓜山へ向かおうとして、Uターンして冬瓜平へ下っている。迷ったが、結局、尾根を冬瓜山へ進む。こちらは残雪がほとんど溶けて、岩肌が現れている。アイゼンをはずせば良かったのに、つけたまま山頂へ。9時02分に山頂に着いた。すばらしい展望であるが、時間がないのでわずかな休憩で、9時11分に出発し先を急ぐ。雪庇の危険な場所を下り、登り返すと9時49分にシリタカ山へ着いた。こちらは一面、真っ白な雪原である。前方に笈ヶ岳がデーンと構えている。ここから一旦急傾斜を下り、さらに登り返すと白山北方稜線に着く。岩綾は左側を巻いて登る。仙人窟岳方面から笈ヶ岳への縦走路に合流したわけだ。時刻は10時35分であった。なんとか目標設定時刻どおりだ。ここからは笈ヶ岳の手前にある雪をかぶったニセピークに遮られて笈ヶ岳は見えない。10時56分にこのニセピークを通過する。このピークへの登りは、疲労した体にはとても堪えた。なんとかこなして、眼前に見える笈ヶ岳を目指す。もう少しだ。11時05分に念願の笈ヶ岳の頂上に着いた。やった。とうとうやったのだ。山頂には雪はない。今日は快晴で真っ青な空に360度の大展望が広がる。すばらしい景色だ。早速写真を撮る。ジライ谷の急登で追い越して言った単独行の1人が休憩中であったので、写真を撮ってもらう。時間がないのでゆっくりもしていられない。単独行が下山したのに続いて、11時20分に下山にかかる。11時33分に北方稜線からの分岐点に着いた。ここで単独行を一旦追い抜く。11時55分にシリタカ山手前の鞍部に着いた。帰りは、往路をとらず、ここから冬瓜平へ向かって、シリタカ山と冬瓜山の北側ををトラバースして行くことにした。この下りで単独行に追い抜かれる。12時15分冬瓜平へ登り返す手前の沢を通過する。12時54分に冬瓜平の西端に着き、急登して13時00分に山毛欅尾山への尾根との分岐に着いた。さあ、後は下るのみだが、体が相当くたびれているので、慎重にくだらなければならない。休憩して、気を引き締め、13時06分に出発する。途中でアイゼンをはずし、13時51分に尾根の先端の急傾斜の下りに着いた。小休止して13時54分に下りにかかる。14時15分に大岩を通過し、14時51分にジライ谷の休憩舎のある野猿公園に着いた。やれやれである。ここから遊歩道を歩いて、15時10分に白山自然保護センターの駐車場に帰り着いた。全く厳しい山旅であった。しかし、満足感がこみ上げてきた。ぎふ百山もあと1山となった。